各種ワクチンについて 〜喘息国際指針より〜
喘息の国際指針の世界的な標準ガイドラインでありますGINA(Global Initiative for Asthma)の推奨されるワクチンとしてRSウイルスワクチンが追加されました。
呼吸器系感染症と喘息の関係
喘息などの基礎疾患は、呼吸器系感染症(インフルエンザ、RSウイルス、肺炎球菌、百日咳など)の重症化リスクがあります。感染症の悪化による肺炎や喘息の増悪のリスクとなる可能性があります。
各感染症とワクチンの必要性について
インフルエンザ
一般集団において重大な罹患率と死亡率をもたらし、喘息の急性増悪の一因にもなる感染症です。
<ワクチンにより期待される効果>
・毎年のワクチン接種による、インフルエンザ感染リスク抑制
・喘息増悪リスクの低下
<ワクチンタイミング>
・65歳以上は定期接種、それ以前は任意接種となります。おおよそ12~3月に流行するため、10~11月頃の接種がお勧めです。毎年流行する型が異なるため、毎年接種することをお勧めします。
・生後6ヵ月~13歳未満までは、2回接種。13歳以上は1回のみ接種で良いとされています。
・中等度から重度の喘息患者は、年1回あるいは、ワクチン接種が一般集団へ推奨される時期にあわせて、インフルエンザワクチンの接種が推奨されています。
肺炎球菌感染症
喘息患者(とくに小児・高齢者)では、肺炎球菌感染症リスクが高くなる。
重症化により、髄膜炎や菌血症などを引き起こす侵襲性肺炎(IPD)の発症リスクがあります。
<ワクチンにより期待される効果>
・重症化による侵襲性肺炎(IPD)の予防
<ワクチンタイミング>
・これまでに肺炎球菌ワクチンの接種歴が無い65歳の方は定期(公費)接種出来ます。
(初回接種後は、5年以上間隔を開けることで再度接種(任意接種)することが可能)
RSウイルス
・乳幼児では、細気管支炎や肺炎などの下気道疾患を引き起こす可能性があります。
・年長児や成人では下気道感染症を引き起こし、喘息を悪化させる場合があります。
・小児および高齢者はRSウイルス感染症により疾患が重症化しやすい特徴があります。
<ワクチンにより期待される効果>
・RSウイルスに関連する急性呼吸器感染症を予防
・60歳以上の成人(喘息などの基礎疾患を有する症例も含む)において、上気道疾患及び下気道疾患の減少・予防
<ワクチンタイミング>
・当院が採用しているアレックスビー筋注用は、60歳以上の成人が任意接種対象となります。
新型コロナ感染症
高齢者・基礎疾患のある方などは、新型コロナ感染症に感染した場合、重症化リスク・死亡率が高くなる傾向があり、基礎疾患自体が悪化する可能性や心不全の発症にも注意が必要です。
<ワクチンにより期待される効果>
・新型コロナ感染症および基礎疾患の重症化予防
※接種勧奨・努力義務の対象
・65歳以上の高齢者
・基礎疾患を有する方
・重症化リスクが高いと医師が認める方
<ワクチンタイミング>
・毎年秋頃に1回、任意接種となります。
〜まとめ〜
呼吸器系の基礎疾患・喘息の持病がある小児~高齢者に対し、肺炎球菌、インフルエンザ、RSウイルス、新型コロナ感染症を含めた、地域の予防接種スケジュールに従った接種が推奨されています。
※なお、インフルエンザ と 新型コロナ感染症 のワクチンは同時接種可能です。
接種間隔や案内など、区や市の保健所や厚生労働省HPも併せてご確認・ご活用ください。