各種ワクチンについて 〜喘息国際指針より〜

喘息の国際指針の世界的な標準ガイドラインでありますGINA(Global Initiative for Asthma)の推奨されるワクチンとしてRSウイルスワクチンが追加されました。

呼吸器系感染症と喘息の関係

喘息などの基礎疾患は、呼吸器系感染症(インフルエンザ、RSウイルス、肺炎球菌、百日咳など)の重症化リスクがあります。感染症の悪化による肺炎や喘息の増悪のリスクとなる可能性があります。

各感染症とワクチンの必要性について

インフルエンザ (公費2,500円前後/自費3,500円前後)※年度で変動あり

一般集団において重大な罹患率と死亡率をもたらし、喘息の急性増悪の一因にもなる感染症です。

<ワクチンにより期待される効果>
・毎年のワクチン接種による、インフルエンザ感染リスク抑制
・喘息増悪リスクの低下

<ワクチンタイミング>
65歳以上は定期接種、それ以前は任意接種となります。おおよそ12~3月に流行するため、10~11月頃の接種がお勧めです。毎年流行する型が異なるため、毎年接種することをお勧めします。
・生後6ヵ月~13歳未満までは、2回接種、13歳以上は1回のみ接種で良いとされています。
中等度から重度の喘息患者は、年1回あるいは、ワクチン接種が一般集団へ推奨される時期にあわせたワクチンの接種が推奨されています。

肺炎球菌感染症 (公費3,000円/自費8,800円)

喘息患者(とくに小児・高齢者)では、肺炎球菌感染症リスクが高くなる。
重症化により、髄膜炎や菌血症などを引き起こす侵襲性肺炎(IPD)の発症リスクがあります。

<ワクチンにより期待される効果>
・重症化による侵襲性肺炎(IPD)の予防

<ワクチンタイミング>
・これまでに肺炎球菌ワクチンの接種歴が無い65歳の方は定期(公費)接種出来ます。
(初回接種後は、5年以上間隔を開けることで再度接種(任意接種)することが可能)

RSウイルス (25,000円)

・乳幼児では、細気管支炎や肺炎などの下気道疾患を引き起こす可能性があります。
・年長児や成人では下気道感染症を引き起こし、喘息を悪化させる場合があります。
・小児および高齢者はRSウイルス感染症により疾患が重症化しやすい特徴があります。

<ワクチンにより期待される効果>
・RSウイルスに関連する急性呼吸器感染症を予防
・60歳以上の成人(喘息などの基礎疾患を有する症例も含む)において、上気道疾患及び下気道疾患の減少・予防

<ワクチンタイミング>
・当院が採用しているアレックスビー筋注用は、60歳以上の成人が任意接種対象となります。

新型コロナ感染症 (15,400円)

高齢者・基礎疾患のある方などは、新型コロナ感染症に感染した場合、重症化リスク・死亡率が高くなる傾向があり、基礎疾患自体が悪化する可能性や心不全の発症にも注意が必要です。

<ワクチンにより期待される効果>
・新型コロナ感染症および基礎疾患の重症化予防
※接種勧奨・努力義務の対象
・65歳以上の高齢者
・基礎疾患を有する方
・重症化リスクが高いと医師が認める方

<ワクチンタイミング>
・毎年秋頃に1回、任意接種となります。
インフルエンザ と 新型コロナ感染症 のワクチンは同時接種可能

帯状疱疹 (値段は下記参照)

過去に水痘(水ぼうそう)に罹ったことがある方の体内に残っていた水痘帯状疱疹ウイルスが、体内で再活性化することで発症する病気です。70歳代で発症する方が最も多くなっています。

<症状>
神経に沿って、からだの左右どちらかに帯状の水疱(時に痛みを伴う)が出現する病気です。
合併症の一つに、皮膚の症状が治った後にも痛みが残る ※「帯状疱疹後神経痛」があり、日常生活に支障を来すこともあります。

<ワクチンの種類>

生ワクチン(水痘ワクチン) 組み替えワクチン(シングリックス)
費用 公費4,000円(※1)
自費7,700円
公費10,000円×2回接種(※1)
自費22,000円×2回接種
接種場所回数 皮下に1回注射 2ヶ月以上(6ヶ月未満)の間隔を空けて、2回筋肉注射。
早期接種が必要と医師が判断した場合、接種間隔を1ヶ月まで短縮することができる。
免疫抑制状態の人 接種不可 接種可能
接種後の効果(予防効果)
1年時点 6割程度 9割以上
5年時点 4割程度 9割程度
10年時点 7割程度
※帯状疱疹後神経痛(合併症の一つ)に対する効果
3年時点 6割程度 9割程度

<ワクチンタイミング>
帯状疱疹予防として、50歳以上の水痘および帯状疱疹に罹ったことがある方が接種対象となります。

※1 定期(公費)接種の対象者(2025年度7月1日~)
横浜市在住の方で、市の発行した予診票がある下記のいずれかに当てはまる方が対象です。
⚫︎65歳を迎える方(予診票:横浜市から送付)
⚫︎60~64歳でHIVによる免疫機能に1級相当の障害がある方(予診票:区の福祉保健課にて申請・受取)
⚫︎2025年度~2029年度までの経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳になる方 (100歳以上の方は、2025年度に限り全員対象です。)(予診票:横浜市から送付)

<他のワクチンとの同時接種について>
・医師が必要と認めた場合に、インフルエンザや新型コロナワクチンなどと同時接種が可能です。
・生ワクチンについては、他の生ワクチンとは27日以上の間隔を置いて接種してください。

下記サイトでも情報収集・確認が可能です。ご活用・ご確認ください。
横浜市HP各予防接種・感染症ページ、厚生労働省HP各ワクチン・感染症ページ